演奏家のためのピラティスと身体の使い方
〜身体を知ることから、音楽の自由へ〜
年齢を重ねるにつれて、以前より呼吸が浅くなったと感じることはありませんか?私自身、ピラティスを続ける中で、以前よりも呼吸が楽になったように感じています。
呼吸には横隔膜が大きく関わっています。横隔膜そのものを一般的なストレッチのように伸ばすというよりも、胸郭や背骨、周囲の筋肉の柔軟性を高めることで、横隔膜が働きやすい環境を整えることができます。
では、ピラティスとはどのような運動なのでしょうか。
ピラティスは、単に筋肉を鍛えたり、身体を柔らかくしたりするための運動ではありません。背骨や関節の動きを意識し、身体を伸ばしながら動かす。そして、今、自分の身体がどのような状態にあるのかを感じ取ることを大切にします。
身体を動かすと同時に、頭も使う運動なのです。
私たち演奏家は、日々、音楽について深く考え、技術を磨くために練習を重ねています。しかし、その音楽を生み出す自分自身の身体については、どれほど理解しているでしょうか。
楽器を演奏するためには、身体のさまざまな部分が協調して働く必要があります。
例えば、ヴァイオリンのボウイング。
腕を動かすことだけに意識が向きがちですが、肩甲骨の動きや、それを支える前鋸筋などの働きも重要です。身体が安定しているからこそ、腕を自由に動かすことができます。こうした身体の仕組みを知り、自分自身の動きに気づくことは、演奏の可能性を広げる一つのきっかけになるのではないでしょうか。
また、日々の練習では、同じ動作を何度も繰り返し、時には長時間にわたって楽器を演奏します。その中で、自分では気づかないうちに、特定の筋肉や関節に負担がかかっていることもあります。ピラティスを通して、背骨や関節の動き、身体のバランス、筋肉の働きに意識を向けることは、こうした負担に気づくきっかけにもなります。
毎日の練習に取り入れる、小さな習慣
皆さんは、毎日の練習をどのように始めていますか?
楽器を持ってすぐに音を出す方もいれば、音階や基礎練習から始める方もいるでしょう。
今回のワークショップでは、演奏前に取り入れられる15分間のウォーミングアップをご紹介します。呼吸や背骨、肩甲骨、関節の動きに意識を向けながら、身体をゆっくりと動かし、その感覚を開放弦のボウイングや音階へとつなげていきます。
大切なのは、決められた動きを正確にこなすことではなく、今の自分の身体がどのような状態にあるのかを感じること。日々の練習の中に、ほんの少し身体と向き合う時間を取り入れることで、演奏にどのような変化が生まれるでしょうか。
無理なく続けられる、自分自身のための15分間を一緒に考えてみましょう。今回のワークショップでは、この15分のワークを実際に体感していただき、毎日のワークに取り入れていただけるように。無理なく続けられる、自分自身のための15分間を一緒に考えてみましょう。
身体の呼吸と、音楽の呼吸
演奏家にとって、呼吸には二つの側面があると考えています。一つは、生命活動としての身体的な呼吸。もう一つは、音楽の流れと結びついた、音楽的な呼吸です。
音楽には拍子があり、リズムがあり、フレーズがあります。私たちはそれらを感じながら、まるで歌うように演奏しています。
音楽的な呼吸は、必ずしも運動としての規則的な呼吸と一致するわけではありません。時には短く息を吸い、時には短く吐く。フレーズの流れに応じて、呼吸のあり方も変化します。
特に弦楽器は、管楽器や声楽とは異なり、実際の息継ぎを必要とせずに音を長くつなぎ続けることができます。だからこそ、身体の呼吸と音楽の呼吸をどのように結びつけるかは、とても興味深いテーマです。
しかし、音楽の呼吸に決まった正解があるとは考えていません。
例えば、長く続く旋律、短い音型、フレーズの終わりや始まり。私たちは、その時々でどのように呼吸しているのでしょうか。
普段は無意識に行っていることを、少しだけ意識してみる。
呼吸を変えることで身体の感覚や音楽の表情が変わるのか、あるいは変わらないのか。一つの答えを見つけるのではなく、それぞれの演奏者が、自分自身の身体と音楽の関係に気づく時間にしたいと考えています。
一つの答えを見つけるのではなく、それぞれの演奏者が、自分自身の身体と音楽の関係に気づく、考えるワークショップにしたいと思っています。